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【復興教育】震災の経験をどう生かすか

 3月10日(金)、1年地理総合の授業では、身近な生活圏の諸課題と防災が単元のテーマであったため、復興教育の一環として、「そなえる」をキーワードに防災に関するグループワークを行った。

 授業者は本時のワークシートを配付すると、「今、みんなが一番訪れたい場所はどこか?」と投げかけた。生徒は思い思いに場所を挙げた。東京ディズニーランド、東京ドーム(WBCの影響?)が多いなか、北は釧路や函館、南はUSJ、石垣島などもあった。

①読む
 そこで授業者から配付されたのは、「いわての復興教育」副読本。#1と#13を各自に黙読させた。黙読の静けさに、生徒の震災、災害に対する岩泉町ならではの、意識や関心の高さがうかがえた。

思い思いの場所を書いていた生徒たちの表情は、一転、他人事ではない面持ちになっていく

②調べる
 「当たり前だった日常が、突如、当たり前じゃなくなることを私たちは知っている」「岩手県の3.11の現状は、これまでも学習してきた。では、その日、みんなが訪れたいところは、どんな様子だったのだろう?」
 生徒は手もとのタブレットで訪れたい場所の3.11を検索し、調べたことをワークシートに書き出していった。

ICTを活用して、調べ学習も容易に

 少しして授業者は、「訪れたい場所の被害状況などが判明してきた。では、その地域は現在、どのような防災、災害対策を講じているのだろう?」と問いかけ、ワークシートにその場所の防災、災害対策がどうなっているのか、さらに調べ学習を進めさせた。

③教え合う
 「さぁ、それぞれが調べた訪れたい場所の被害状況や防災、災害対策をグループ内で共有しよう」
 生徒は、授業者のひと声で、グループごとに調べた内容を発表し始めた。

授業者の合図で、教室内に生徒が発表し合う声が飛び交っていた

 グループがひと通り発表を終えたところを見計らい、授業者は各グループの代表から、どんな内容が共有されたかを全体に報告させた。生徒からは、都市部の火災や建物の倒壊の危険性、港湾など埋立地での液状化現象などが報告された。
 授業者は、まとめとして、震災や災害の経験をこれからの生活に生かすということは、防災の意識を高めつつ、「岩手にいるから」ではなく「いつでも、どこでも」考えたり行動したりしながら、備えることに積極的に参画することだと呼びかけ、生徒に振り返りを促していた。

<生徒の振り返りから>
「東日本大震災については、岩手のことしか詳しく知らなかったので、他の県も知れて良かったし、備えることは大切だと思いました」
「3.11は、東北と関東だけの被害と思っていたが、日本で一番南の県まで到達するくらいの大きな地震だったということが知れた」
「将来、旅行に行く時があると思う。何が起こるか分からないので、避難場所などちゃんと調べてから行きたいと思う」
「東京であることは同じでも、区によって、負傷者が違うことを知った」
「都市部では火事や液状化などの被害があったが、他にどのような被害が出たのかもっと調べてみたいです」
 1年生は当時4歳くらいで、記憶も定かではないだろうが、6年前の台風10号被害もあり、幼いころから災害の現状・防災に関する意識が備わってきていたのだと思う。3.11を前に、こうした復興教育の必要性を強く感じた。
(文責:佐々木伸)

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